リビングに呼ばれてソファーに座る。モモは大人しく私の腕に抱かれている。




「まず、お前にはこの家とある家の仲を取り持ってもらいたい。」




帰ってきて一言目が‘おかえり’じゃなくて‘どこにいたんだ’で、リビングに移動して一言目が‘無事だったか’じゃなくて家どうしの仲をどうにかしろ。心配する言葉を期待していたわけじゃない。でも、少しは心配して欲しかった。





「私はこの家の子じゃ無いんですよね。なら、妹にさせるのが筋じゃないですか?」




そう言えば父は舌打ちをする。





「姫香(ひめか)は大事な跡取りだからな。そんなことさせられないだろ。」



「……そう。わかった。今回はどこ」



「田端の家だ。」





ん?田端?ちらりと私の斜め横に立っていたインテリイケメンを見ると苦笑している。え、君も田端だよね?なんて思いながらも





「日にちは明後日の夜だ。私達とお前で行く。」



「分かりました。」





返事をするとすぐにリビングから追い出される。一緒に追い出されたインテリイケメンの田端さんを見上げると彼は私を見下ろしていて、目が合うと苦笑する彼。




「俺も田端さんだよ。」


「えっ、そうなの。忘れてたー」




と、棒読みで言うとモモを抱き直し自分の部屋だった場所に向かう。部屋は私の使っていた家具はあるものの。服や少ししかなかったアクセサリー、カバンは無くなっていた。





「…………」





無言で部屋を見ているとポンポンと頭を撫でられる。その手を避けるようにベッドに腰を下ろしモモをベッドの上におろす。




「明後日の田端っていう人と田端さんは関係あるの?」



「あるよーな。ないよーな?」




「知り合い?」



「知ってるよーな。知らないよーな。」




「……答える気ある?」



「あるよーな。ないよーな?まっ、あって見たらわかるよ。全てがね。」





なんて誤魔化す彼を睨みながらもゴロンと寝転ぶ。ちょっとー。危機感ある?一応男よ?なんて言う彼を無視してモモを見ると丸くなって寝ている。そんなモモの背中を撫でると首を上げて、鬱陶しい。とでも言うかのように睨まれる。




「むー。帰りたいな……」



「帰れるよ。」





そう言った田端さんを見ると微笑んでいて何処と無く誠さんに重なって見えた。




「大丈夫。この縁談は必ずうまく……あっ!!」




慌てて口を抑えるがもう遅い。【縁談】という言葉を聞き逃さず私はガバッと体を起こす。




「どういうことよ!!家に連れ戻されたら縁談って……ありえない!今すぐ出ていく!!」





なんて言うがどうどうと落ち着かされる。睨みながらも落ち着けば田端さんは





「だーかーらー。あってみたらすべてがわかるって!!明後日まで大人しく部屋にとじこもってなさいよ。」





と、笑うだけで詳しくは教えてくれず‘詳しくはホームページまで!’なんて面白そうに言っていたので近くにあったクッションを彼の顔を目がけて投げたが……余裕で避けられたのは言うまでもない。