雪のなかに猫






カフェだった。と思いながらも、妊婦さんが近くに来てから一段と騒がしくなる私の周り。もうね。何が何だかわからなくて頭が痛くなってきた。





なんて、1人蚊帳の外になっていた私だが……妊婦さんと目が合う。




「何この生物!!可愛い!!」




なんて抱きつかれるしまつ。
ギュッと抱きつかれてお腹が私のお腹に当たるから大丈夫かな。なんて思いながらも腕から抜け出すことが出来なくて、少しでもお腹に負担がかからないように大人しくしていた。





「ちょ!美紀姉!遥を離せよ!」



「ん?んん?嫉妬かい?誠ちゃん?おねーちゃんにこの可愛い生物が取られそうで嫉妬してるの?可愛いわねー。誠ちゃん。」




私を抱き締めている妊婦さんは美紀さんと言うらしく誠ちゃんと言って誠さんをからかっている。どうやら誠さんも美紀さんには勝てないみたいで悔しそうにしていた。





「あの………すみません。は、離れてください。」




私の声が聞こえたのか美紀さんは私を見て驚く……




「え、遥ちゃん!?どうしたの!?調子悪いの!?」




私の名前……なんて思いながらも大きなお腹が私にあたる度に冷や冷やしてそれどころでわなかった。





そして、離れてくれた美紀さんに事情を聞き出され正直に言ったら笑われた。





「大丈夫!少し触れただけでどうってことないから!それより、誠ちゃんから聞いてる?私は高橋 美紀(たかはし みき)結婚して名字変わってるけど一応、田端家長女!」



遥ちゃんの事は誠から聴いてる!そうそう!私何歳に見える?なんて言われたから直感的に答えれば背中をばしばし叩かれる。‘いやーねー。24だなんて!!そんなに褒めてもなにもださないわよー!’なんて言いながらもお菓子をくれた。




「まじかよ。あんた目おかしいんじゃね?美紀姉は今年で35だぜ。」



「おい、マっタケ!表出ろや!!」



「妊婦だろ!?」





なんて言いながらも引きづられていく弟くんに苦笑しながらも誠さんを見ると私を見ていた。




「驚いた?」



「うーん。弟さんがいたことに驚いただけかなー。」



「そう。以外だった?オレが姉弟がいたことに。」



「うん。ねえ、誠さん。」



「ん?」



「弟くんと話してる時みたいな口調でいいよ?」



「…………」




すこししかちがいないけど。なんていう私を黙って見る誠さん。ニコリと笑うと彼ははぁ。とため息をつくと





「ごめん、そうだよな……ありがとう遥」




首をかしげたらなんでもない。と笑われる不思議に思いながらも、誠さんを眺めていたらスッキリした顔でトレーを手に持って戻ってくる美紀さんとぐったりとトレーを持ち今にも倒れてしまいそうな弟くんがランチメニューを運んできてくれた。





「まだでしょ?食べていきなよ!未来の妹ちゃんがいるんだしさー!遥ちゃん!私のことおねーちゃん!だなんて呼んでくれてもいいんだよ!」



「え、あ。はい!美紀おねーちゃん?」




ずいずいとくる美紀さんにおねーちゃんと呼んでしまい慌てるもののにっこり笑って喜んでいた。




「あ、誠兄の彼女さん……俺、田端松騎(まつき)って言います……どういう訳か姉貴には【マッタケ】その、よろしくすっ。」




そう言うと照れくさそうにしていた。そんな弟くんをみて可愛い。だなんて思ってしまった。本人には絶対秘密にしよう。