雪のなかに猫






付いたのは映画館。ではなく、映画館の隣にあるおしゃれなカフェ。その中に手を繋がれ中に入るととても落ち着いている空間と静かに流れるBGM。





「ここ、テレビで紹介されてた」



「遥行きたいって言ってただろ?」





覚えててくれたことに嬉しくなり微笑むと誠さんも微笑んでくれてカウンター席に座る。




「でも、実はここ……俺の知り合いの店でさ、連れてきたくなかったんだよなー。」




なんて言ってる誠さんに私達の背後から声が掛かる。




「何言ってるんっすか?あんたの店だろ?顔出すのも当たり前じゃないっすか。」



「え?」




振り向けばバリバリインテリ系の少年だがその反面すごくチャラそうな喋り方をするギャップがすごそうな少年がトレーを持ってたっていた。





「ってか、あんたが。兄さんの彼女?」



「にい……え?誠さんお兄さんなの!?」



「はぁ!?何言ってんの?誠兄は田端家の長男。27歳にしてこの店を立てていまや、テレビで放送されるまでになった!!そんな誠兄の3番目の弟として鼻が高いってもんだ!!」




なんて言いながらも………年齢間違えてない?なんて思っていたらやっぱり間違っていたみたいで誠さんに軽く叩かれていた。




「弟として鼻が高いなら、俺の年齢ぐらい間違えんなって……」



「ご、ごめん。」



「俺そんなに老けて見えんの?」


「いや、あ、いや。もう、兄さんは、俺より若く見える!!」



「いやだわー。お前より若かったら俺は中坊かよ……」



「え、あー。兄さんは……俺より年上に見える!!」



「年上に見えるから27か?どっちみち老けてんじゃねーかよ」



「え、ちが……その、わかい!」




なんていつもと、どことなく口調が違う誠さんとからかわれていることが分からずあたふたする弟くんを見てると自然と笑ってしまう。笑ってると弟くんが顔を赤くして私を見ていてそれを見た誠さんがニヤッとしながらも私の方を抱き寄せる。




「やんねーぞ。遥は俺のだからな。」



「っ誠兄!?」


「誠さん!?」




弟くんと声を揃えて驚く中、誠さんだけがニヤニヤとしている。そうしているかと思えばカウンターの方からトレーが飛んでくる。それを察して私をかばいながらも避ける誠さん。トレーは誠さんに当たってとまるはずだったが、避けられ誠さんの前に立っていた弟くんに直撃する。






「……大丈夫?」





顔を抑えてしゃがみこむ弟くんに声をかけていたら綺麗な凛とした声が聞こえてくる。




「誠!!てめぇー!帰ってこないと思ったら可愛い女の子連れて!!その子私によこしな!!」





と、カフェのエプロンを掛けて出てくる綺麗な妊婦さん。




忘れてたけど……エプロン見て思い出したけど……





ここ、カフェだったね………。