学生達が夏休みも終わりを迎える頃。私は近くのスーパーにきていた。今日、明日、明後日の食材を買いに。
「あら!遥ちゃん!こんにちは!今日はじゃがいもとニンジンが安かったわよー!」
「こんにちは。じゃがいもとニンジンですか……」
「あら、遥ちゃん!ちょうど良かったわ!これおすそ分け!牛肉……買いすぎちゃって!」
なんて、最近スーパーで同じ曜日の同じ時間に買い物に来てるから仲良くなった人達が声をかけてくれ、たまにこうやっておすそ分けしてくれる。
それにお礼を言いながらも、かごを持ってスーパーを見て回る。
じゃがいもとニンジンが安いし、牛肉を貰ったからカレーかな?カレーなら、二日……よく持って三日か。よし。カレーにしよ。三日目はカレーうどんかな?
その後、調味料とか、飲料系を買って帰ろうとスーパーから出ると見知った車が止まっていた。見たくなかった車……
その車に近づかないように遠回りするが、あとを付けてくる車。このままじゃ私がいる場所がわかって誠さんに迷惑かけてしまう。
私は立ち止まり、車の方を見る。そしたら、私の横に止まり窓がおりる。そして、開いた窓から黒髪のインテリイケメンが顔を出す。
「お嬢。帰りますよ。」
「帰る?どこに。私を捨てたのはそっちでしょ?」
「……つまりお嬢は帰る気がないと。」
帰る気がないとかそんな問題じゃない。私は親に必要ないと捨てられた。なのに……いまさら帰ってこいと?
「あの人に伝えて。【捨てたのはそっち】だと。」
「……わかりました。それでしたらこちらも手を打ちます。3日待ちます。その間に決断してください。もし、お嬢が決断を間違われた場合……失礼します」
なんて意味深な顔を残し通り過ぎていった。
私は持っていたビニール袋を持ち直し家へと急いだ。