そして、家に着いたのはあれから数十分後。いつもなら玄関に【笑顔】で掛けてくる遥だが、良く見ればぎこちない笑顔で……本人は気付いてないのかそのまま俺が持っていた荷物を半分持ちリビングにと向かう。




荷物のことを説明し、珈琲をいれてくれる遥にぱっと目に付いたテレビ台の隣にあるゴミ箱に歩み寄ると、白い封筒が捨てられていてUSBメモリが顔を少し覗かせていた。




USBメモリを手に取って考え込んでいたら、出来上がったのか、カップを持ちソファーのところにくる遥。それを見ながらも、ごそごそするのを辞めてソファーに座る。モモは遥に近づき、僕のミルクは?と言う顔をして見上げていた。




そんなモモにあるよ。と撫でてリビングに持ってきて猫用ソファーの前に置いてあげていた遥に気になったことを聞いてみた。





「遥?俺が出かけていた間になにか無かった?」



「ん?何も無いよ?モモもいい子にしてたし……なんで?」



「……いや、なんでもない。それより遥?何かあったらすぐに頼って?あまり嬉しくないけど……俺じゃなくてもいい。綾華でも、達也でも、奏にでも……いいからね?」





そう聞いた俺に不思議に思ったのか、遥は戸惑ったような顔をしながらも笑って頷き、お風呂の準備をするために風呂場へと向かったて行った。





お風呂を入れているあいだに夕飯をすまして、一番風呂を遥に譲り、USBメモリをパソコンに繋げる。勿論ウイルスやトラップが仕掛けられているということを予想して手を打ちながら……




だが、心配していたことは何もおこることなく。メモリ内の読み込みに成功し、画面に映し出された動画を見る。




正直……この動画は目を疑うような内容だった。そこに映し出されたのは今ここにいる【 遥 】と言う人物の姿はなく……【 城内 遥 】としての彼女が移しだされていた。






彼女がこれを目にして無いのか、目にしたらどうなるのか。とても気になる。もし、彼女がこれを見たら……きっと……きっと……




俺のことを考えて、無駄なことを考えて……
そして……







俺の手元からいなくなる。