いい匂いに誘われて目が覚める。お腹のあたりが重いなーと思ったら猫が丸まって寝ていて、私が目覚めたのが分かったのかのそっと体を起こし、一鳴きしてから布団から出る。




たしか昨日、ベットがひとつしかないからって、私がソファーに寝たはずなのに……私がいるのはベッドで……なんて考えながらもリビングに行くとテレビでしか見たことしかない朝食が用意されていた。




「あ、遥?おはよう!よく寝れた?」


「おはようございます。はい。ありがとうございました。」


「お礼言われるほどの事じゃないよ。それより、朝食を食べて遥の日常品と猫ちゃんの日常品買いに行こうか」



そう話しながらも席に座る彼を見て頷く……
私も席について頂きますをして食べる。食べながらもチラリと彼を覗き見る……彼は文句のつけようがないほどの整った顔でモテるだろう……



そう思いながらも見つめ続けていたらバチッと目が合ってしまう。



「どうしたの?なんか付いてる?あ、それとも不味い?ごめん、彼奴にもよく言われてたの忘れてた……」




残してもいいからね?と苦笑する彼に私は素直に感想を告げると何故か驚いた顔で食レポみたい。と感動される。



そんなこんなで洗い物を終わらせ私と猫の日常品を買いに向かう。




それにしても、彼はモテる。いやね?家でもそうだろーなーって思ってたよ?思ってたんだけど……彼のモテ度は異常だ……道行く人がみんな振り返り立ち止まり写真や声援をあげる。



中には並んで頭を下げて挨拶する人もいた……




そんな中家具屋さんに来る。そしたら、店の人を呼んで何やら話をしている。店はほぼ貸切状態で何故か店員さんが全員ビッシリと整列し、飲み物まで持ってくるしまつ……



この人は一体何者!?なんて考えながらもあるベッドが目に入る…………



白を基準としたふんわりして寝心地が良さげなベッド……




「ん?あれがいいの?」


「え?」


「え?あれがいいんでしょ?」


「へ?」


「もういいや、あれ俺の家に届けといて?部屋は入ってすぐの左の部屋。」



え?店員さんに言う誠さんの手を掴み



「誠さんのベッドを買いに来たんですよね!?」


「ん?いや、遥の日常品を揃えるって言ったでしょ?」


「いやいやいや。え?マジで私ひろわれたの?1日でポイじゃないの?」



何ていう私に何故か少し怒ったような顔になり誠さんは私の頬に手を添えてニッコリと微笑む




「本気だって言っただろ?分からないの?分からないならその体に教えこんでもいいけど?」




ちょうどここベット売り場だし。怒られないから安心して。なんて色っぽく呟かれ微笑まれたら首を全力で横に振るしかないじゃないか。冗談と思っていた私が馬鹿でした!!と謝りながらも、ベッドの購入を止める。



「べ、べべべベット!!いらない!いらないです!床でいいから!ってか、もう床しか受け付けないから。もう、床バンザーーイ!!」




なんて言ってバンザイをする私にクスと笑う声が聞こえたが、気にしない。値段を見たら桁が違う。たとえ私の通帳にお金が振り込まれてるって言われても買えない。



「遥どうしたのいきなり。床をこよなく愛してることはわかったけど……ベットにしなさい。」


「いやいやいや。私買えないです。」


「え?変えない?え?俺と一緒のベッドでいいってこと?俺はいいけど………遥はいいの?」




はぁ!?え?何言ってんの?え?




私がパニックになってるうちにベットの購入は決まってしまったのだった。