ドアを開いて出て来たのはやはり平凡な容姿したリリィー・スーザンの専属だった。とても、あの見目麗しいキリシに全然似てない。
「やっと記憶を思い出しましたか。」
そう言いニッコリと笑った。
ああ、やっとキリシに会えた。やっぱりキリシなんだ…
「ねぇ、キリシ1発殴らせて!」
そう言って、リリィー・スーザンはとてもいい笑顔で拳に力を込めた。
絶対に、許さないんだから。
「えっ、いやいや、どうしてそうなったんですか?!」
「私、聞いてないからね!記憶を思い出した瞬間に激痛が襲って何日も、寝込むことになるなんて!」
「そのことについては、本当にすいませんでした!なんせ、世界を作ったのも初めてですし、ましてや、違う世界にいた魂をこの世界に転生することになるなんて全然予測していなかったことなんで、全然対策を練っていなかったんですから!」
「えぇ、そうね。でも、そうなったのは、貴方のせいでしょ!」
「すいませんでした!」
キリシはそう言いながら、土下座をした。その土下座は、とても綺麗で、美しかった。
あ〜、なんか、バカバカしくなっちゃた。もう許してあげるか。
「はぁ、解った、許してあげる。だから、さっさと立つ!」
「はい!」
キリシは、すぐに立ち上がった。
「ねぇ、質問なんだけどさ、私が、倒れた後、どうなってんの?」
「確か、旦那様が持っている権力を使い、医者や魔術師などにお嬢様を見せていたんですけど、原因が解らず、今は隔離されてます。」
どおりで、いつもいるメイドさん達がいないわけだ。
「えっ、じゃあよくキリシは、タイミングよくここに来れたね。」
「そりゃあ、ちゃんと意識が戻って、落ち着いて物事が考えられる状態に戻ったら、解るようにしていましたし、ここに来れるように、お嬢様の容態を確認してきます、って言いましたから。」
「じゃあ、あんまり長くはここに居られないね。」
「ええ、そうですね。どうします?お嬢様が目が覚めたことを他の人達に伝えますか?伝えないで、ゆっくり1人でこの世界のことなどを考えてから、明日辺り、他の人にお嬢様が目覚めたことを伝えることも出来ますが?」
「ねぇ、今、私の目が覚めたことを伝えたら、後でゆっくりキリシと考えることが出来る?やっぱり、1人で考えるのは、寂しいから。」
「ええ、出来ますよ。多分早ければ、2日後辺りで、ゆっくり話すことが出来ます。」
「そっか、良かった。あっ、どうしよう。性格って、前のままの方がいいのかな?リリィー・スーザンとしての記憶はあるし、急に人格が変わると周りがうるさいことになりそうだし、前の性格の方が、キリシを呼ぶのに、違和感が無さそうだし。」
「そうですね。じゃあ、そうしましょうか。では、私は他の人達にお嬢様が目を覚ましたことを知らせに行ってきますね。でも、安心してください。私は、いつでも、貴方のことを危険から守れるようにしていますから。だから、安心してくださいね。」
そう言ってキリシは、優しく微笑んだ。
「うん。安心して暮らすね。」
リリィー・スーザンが、そう答えたらキリシは、部屋から出て行った。