予約の2時間が終わる頃、けいちゃんが、やってきた。
「お、河谷!
こっちに来て、飲め!」
すっかり出来上がった課長が、けいちゃんを呼ぶ。
「えぇ!?
俺、遥を迎えに来ただけなんですけど。」
そう言いつつも、けいちゃんは課長からビールを注いでもらって、軽く飲み干す。
けいちゃんは、私の前に来て、
「大野、どけ。」
と哲平を睨んだ。
「は?
今日は俺の歓迎会ですよ?
部外者は黙っててください。」
「うるさい!
お前の歓迎会なんだから、こんな末席に
いないで、素直にあっちのお誕生日席に
座ってろ。」
険悪な空気を感じた私は、声を張り上げて言った。
「そろそろ時間ですので、主賓の大野くん
から、一言いただきたいと思います。」
わぁぁぁ
と歓声が上がり、否応なく、哲平は立たされた。
「今日はこのような歓迎会を催していただき、
ありがとうございます。
1日でも早く、皆さんの戦力になれるよう
がんばりたいと思いますので、ご指導
よろしくお願いします。」
パチパチパチパチ
拍手と共に、哲平は座る。
「では、課長、締めの挨拶をお願いします。」
私が声を掛けると、課長はご機嫌で立ち上がる。
「河谷主任が抜けた痛手は大きいが、
大野くんも来てくれた事だし、みんなで力を
合わせて頑張って行こう!
佐藤さん、今日は幹事、ご苦労さま。」
課長の挨拶が終わると、みんなバラバラと立ち上がる。
私は、みんなが立った席を回って、忘れ物がないか確認してから、待っていてくれたけいちゃんと一緒に店を出た。
店の前では、酔っ払ったみんながまだたむろしている。
「二次会行くぞ〜」
という課長の声に何人かが付いて行く。
「佐藤さん、お疲れ様でした。」
坂野くんは、にこやかな笑みを浮かべて挨拶してくれた。
「うん。坂野くんもお疲れ様。
今日は手伝ってくれて、助かったよ。
ありがとう。」
坂野くんにお礼を言うと、私はけいちゃんと手を繋いで帰った。