「けいちゃん、広瀬さんが元カノって
ほんと?」

一瞬けいちゃんの表情が固くなったが、すぐにふわりと微笑んだ。

「有村に聞いたのか?」

「うん。」

「ほんとだけど、お前がそれを気にして
どうする?
お前に惚れて、俺はあいつと別れたんだぞ?
お前がいるのにあいつに戻るわけねぇだろ。」

とけいちゃんは笑う。

「そっか。
お昼にへんなヤキモチ妬いてごめんね。」

私が素直に謝ると、

「ま、ヤキモチ妬かれるのも悪くないけど
な。」

となんだかちょっと嬉しそう。

「なんで?」

「そりゃあ、愛されてる実感が湧くからだよ。
俺の事、好きだから、妬くんだろ?」

「そっか。」

「だけど、有村と昼メシはないだろ?」

「え? なんで?」

「お前に惚れてる男と飯に行くなんて、
無防備過ぎ。」

「えぇ〜!?
有村くんは、もう私の事なんて、なんとも
思ってないよ。」

「はぁ…
遥はどうしてこうも鈍いのかねぇ。
まぁ、それが遥の良いところでもあるけど。」

「あれ!?
それ、お昼に有村くんにも言われたよ。
なんか、けいちゃんと有村くんって、いつも
同じ事言うよね?」

「有村、ムカつく。」

「え? なんで?」

「何でもない。」

「えぇ〜!?
気になる〜?」