「はぁ………」

有村くんと2人でエレベーターに乗ると、思いっきり脱力感に襲われた。

「お前なぁ、ここでため息つく位なら、
さっき、なんであんな事言ったんだよ?」

「だって…」

私が俯くと、有村くんは、ふっと笑って、

「まぁ、気持ちは分からないでもない
けどな。」

と言って、私の頭を優しく撫でてくれた。

「どうする? ほんとにランチ行くか?
このまま、河谷主任のとこへ戻るか?」

有村くんが私の顔を覗き込む。

「ランチ行く!
ごめん、有村くん、嫌かもしれないけど、
付き合って。」

私が顔を上げると、有村くんはいつものように優しくにっこり笑ってくれた。

「ん。
どこに行く?
社食で、河谷主任に鉢合わせるのは嫌だろ?」

「そうだなぁ。
あそこは?
夜、居酒屋だけど、昼だけランチやってる…」

「ああ、左に行って、角曲がったとこの?」

「そう!
あそこ、おいしいよね!?」

「そうだな。
じゃ、行くか?」

そう言って、私たちは2人で並んで歩いた。

2人で話すのはあの日以来だったけど、有村くんは何もなかったように、ただの同期として接してくれるので、私も気を使う事なく、とても楽しく会話できた。

こういう所が、有村くんは大人だな…と思う。