「はるちゃん、おはよう。
新婚旅行、どうだった?」
更衣室に入ると、みんな口々に結婚式や新婚旅行の話を聞いてくる。
「楽しかったです。
たくさん休ませていただいて、皆さんには
ご迷惑をお掛けしました。」
私は制服に着替えて、朝礼に出席した。
けいちゃんの席は綺麗に片付いて空き机になっていた。
その事が寂しくて、朝礼も上の空だ。
パチパチパチパチ
突然の拍手の音に驚いて顔を上げると、部長の横でにこやかに微笑む見覚えのある顔。
!!!
なんで!?
しまった…
ちゃんと話を聞いてれば良かった。
私は慌てて、近くのひとつ下の後輩に聞いた。
「坂野くん、今、話聞き逃したんだけど、
なんだったの?」
「河谷主任が異動になったから、あの部長の
横にいる人が、代わりにうちの課に配属に
なるそうですよ。佐藤さんの隣に来るんじゃ
ないですか?」
「は!?
あの人が主任の席に座るの?」
「だって空いてる席、そこしかないじゃない
ですか?」
そうだけど…
はぁ…
けいちゃんになんて言おう。
けいちゃん、怒るだろうなぁ。