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ずっと一緒に

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紆余曲折はあったものの、無事、納品も完了して、現在は、のんびり仕様書の整理をしている。

私はこの平和な時間が好きだ。

資料を整理して、データと紙ベースの両方で保管する。



けいちゃんは、営業さんと取引先に次の受注案件の打ち合わせに行っている。

以前は、次からは私も同席して、独り立ちするために勉強させる…と言っていたのだが、前回の一件で延期されてしまった。

私は、営業さんも一緒だから大丈夫だと言ったんだけど、けいちゃんが頑として聞き入れてくれなかった。


16時。

けいちゃんが営業さんと共に帰ってきた。

「ただいま。」

「おかえりなさい。」

「主任、コーヒーでいい?」

「ああ、ありがとう。」

私はパタパタと駆け出して、2人分のコーヒーを入れてきた。

けいちゃんは、コーヒーを飲みながら、次のシステムの概要を説明してくれる。

「理解できた?」

「はい。」

「じゃあ、これは、遥の設計でやるから、
よろしく。」

「え!?」

「俺は補佐。
遥がメインでフロー描いて設計して、俺に
作るもの指示して。」

「ええ!?
ムリです!
やった事ありません。」

焦る私にけいちゃんは、
「くくくっ」
と笑う。

「そんな事は知ってるよ。
だけど、遥はもうできるはず。
今回はそんなに大きなシステムでもないし、
俺もフォローするから、やってみろ。」

正直、自信もないし、新しい事に取り組むのは、ちょっと怖い。
だけど…

「がんばります。
でも、困った時は助けてくださいね。」

けいちゃんは、にっこり笑うと、私の頭をわしゃわしゃと撫でて、

「当たり前だろ?」

と言った。