けいちゃんは、足がすくんで歩けない私の肩を抱いて、その場から連れ出してくれた。
涙が止まらない私を見て、けいちゃんはタクシーを止めた。
けいちゃんは、2人とも直帰する旨を会社に連絡し、自宅に戻った。
「何があった?」
帰宅後、けいちゃんは優しく聞いて来た。
でも、私は何も言えずに首を横に振った。
けいちゃんは、それ以上何も聞かずに、そっと抱きしめて、
「風呂入ってこい。
その間にメシ作っておくから。」
と囁いた。
だけど、私は、
「やだ。
1人になるの、怖い。
お願いだから、けいちゃん、一緒にいて。」
とけいちゃんの背中をぎゅっと抱きしめた。
けいちゃんは、そこにあったダイニングの椅子を引くと、私を自分の膝の上に横抱きに座らせて抱きしめた。
そしてそのまま私の頭を撫でながら、何も言わず、一緒にいてくれた。



