「けいちゃん」

「何?」

私はけいちゃんの腕枕で微睡みながら話し掛ける。

「けいちゃんは、いつから私の事、好き
だったの?」

「………
はっきりとは分かんないけど、やたら
元気なのが配属されて、しばらくした頃には、
もう気になってた気がするなぁ。」

「あれ?
でも、彼女いましたよね?」

「ああ。
でも、残業続きで時間的にすれ違ってた上に、
気持ちもなんか違うなーって思い始めて、
多分、遥が来て半年くらいで別れた気が
する。」

「なんか、有村くんも似たような事、言ってた
気がする。」

「そうか…」

「そういえば、私って、有名人なんですか?」

「ん?」

「有村くんが言ってたんです。
私が有名人だから、私が別れた噂もあっと
いう間に広まったって。
けいちゃん、どういう事か知ってます?」

「………
お前、自覚ないもんな。」

「あ、それも有村くんが言ってた。
どういう事ですか?
有村くんは、教えてくれなかったんです。」

「じゃあ、俺に彼女ができたってバレたら、
どうなると思う?」

「それは、あっという間に、全女子社員に
広まりますよ!
けいちゃん、イケメンで有名ですもん。」

「くくっ
お前は全然なびかなかったけどな。
………お前も同じなんだよ。」

「へ?
私は、けいちゃんみたいに美形じゃないよ。」

「んー、お前は、絶世の美女ではないけど、
かわいいんだよ。
明るくて人懐っこくて、男からすると、手が
届きそうな上に、自分に気があるのかもって
勘違いさせられて、翻弄されるんだ。」