私は涙を止めようとがんばった。

がんばったけど、私は、涙を止められなくて、けいちゃんにしがみついて泣いた。

あぁ、そうか、私……

「あのね、私ね、寂しかったの。

………ひっく

けいちゃんの抱き枕じゃなくなってから、

………ひっく

寂しくて寝られなかった。

………ひっく

何度もけいちゃんのベッドに行こうと思った
けど、

………ひっく

できなくて、寂しくて、でも言えなくて、

………ひっく

苦しかった。

………ひっく

けいちゃんは、私の指導係で、

………ひっく

いつもいっぱいお世話してもらって、

………ひっく

迷惑かけて、

………ひっく

だから好きとかそういうのは違うって、

………ひっく

ずっと思ってたけど、

………ひっく

でも、やっぱりけいちゃんにそばにいて
欲しくて。

………ひっく

だから、私もけいちゃんとずっと一緒に
いたい。」

けいちゃんは、私の背中をぎゅっと抱きしめて、私が泣き止むまで待っててくれた。

「遥」

名前を呼ばれて、そっと顔を上げた。

けいちゃんが優しい目で見下ろす。

私の顎にけいちゃんの手がかかり、唇に温もりが落とされた。

優しく触れて去っていくそれは、私の鼓動をせわしなくさせる。

「遥」

「ん…」

もう一度、呼ばれて、唇にキスが落とされる。
何度も何度もキスされるうちに、徐々に長く深くなり、思考に幸せな靄がかかってくる。

けいちゃんの唇が離れると、私は突然、宙に浮いた。

「え!?」

けいちゃんに抱き上げられ、けいちゃんのダブルベッドに運ばれる。

「あの、けいちゃん?」

けいちゃんが私の上から見つめる。

「遥、愛してる。」

そう言って、けいちゃんは唇に、頬に、耳に、首筋に、鎖骨に…体中に、優しく、くちづける。

私は、その度に、体の奥が疼くように痺れ、体を捩(よじ)らせる。

「遥。
俺の遥。
愛してる。」


私は幸せの波にのまれ、けいちゃんと結ばれた。