「有村くん、誤解しないで。
同棲じゃなくて同居なの!
私、全然、知らなくて、今日はびっくりした
けど、ちゃんと考えるから。
だから、少し、時間もらっていい?」

「遥!」

けいちゃんが睨んでる。
でも、私は間違ってない。

「俺は佐藤を信じるから。
返事、待ってる。」

有村くんが、優しく微笑んでくれて、私はほっとした。

「ありがとう。」

私はそれだけ言うと、けいちゃんに引き摺られるように連れられて帰った。

飲み代は、けいちゃんが全額支払いを済ませてた。

けいちゃんは、いつもムダに長い足を封印して私のペースで歩いてくれてた事を、今、知った。

私は、今日は、小走りじゃないとついていけない。

「けいちゃん、待って!
お願い。
ちょっとゆっくり歩いて!」

私が息切れしながら言うと、けいちゃんは足を止めた。

「悪い。」

そう言って、いつものようにゆっくり歩き始めた。

けいちゃんの顔が悲しそうで、私はそれ以上、何も言えなかった。