「ごめんね。」
と謝って、席に戻る。
「ん、誰から?」
「河谷主任」
「そっか。」
「………」
沈黙の後、有村くんが口を開いた。
「俺さ、研修中に、元カノと別れたの、
知ってる?」
「うん。誰からか忘れたけど、聞いたよ。」
「それさ、俺のせいなんだよね。」
「どういう事?」
「彼女は全然悪くないんだけど、俺が他に
好きな奴ができちゃって、そんな気持ちの
まま付き合うのは申し訳なくて、
別れたんだ。」
「うん」
突然、何の話?
自分の失恋話で慰めようとしてくれてるのかな?
「ところが、その好きな奴、俺が彼女との
別れ話で揉めてる間に、違う奴と付き合い
出してさ。」
「うん」
「俺は融通が効かないから、別れ話がきちんと
片付いてから、告白しようと思ってたら、
別の奴にかっさらわれて、後悔したんだ。
けりが付く前でも、気持ち伝えておけば
良かったって。」
「うん。
タイミングってあるよね。」



