「佐藤、今週、忙しい?」

「山は越えたけど、まだ暇ではないかな。」

「週末、飲みに行かない?」

「? 同期会?」

「俺、幹事とか苦手だから、そんな大ごと
じゃなくて、佐藤と2人で。
同期みんなが揃うと言えない愚痴も
あるだろ。」

「………」

知ってるんだ。
哲平と別れた事。

「7時位からなら平気?」

定時じゃなく、少し残業した後…というのが、行き易くて嬉しい。

「うん。大丈夫だと思う。」

「じゃ、詳細はまたメールする。」

「うん。」

そう言って、有村くんは缶コーヒーを手にここよりひとつ上の自分のフロアに戻って行った。