日曜日。

河谷主任がうちに来た。

「はじめまして。
遥さんの同僚で、主任の河谷と申します。」

「まぁまぁ。
わざわざありがとうございます。」

母はイケメンの河谷主任を見て、ご機嫌だ。

一方、父は憮然として主任を見ている。

「遥は、同居だ、ルームシェアだと
申しておりますが、男女でそのような事、
可能だとお考えですか?」

父が言った。

「私は遥さんと結婚を前提に同居して
お付き合いを深めていけたら…と考えて
おります。」

「えっ!?
ちょっ、ちょっと、主任!?」

「もちろん、ご両親のご心配はよく分かります
ので、節度を持って、遥さんの想いを大切に、
結婚への準備を進めて参りますので、
よろしくお願いします。」

「まぁ!
こんなわがまま娘をもらってくださるなんて。
遥、よかったわね。」

ぜんっぜん、良くない!

「結婚前に同棲とは、外聞がよくない
だろう?」

父が反対する。

「失礼ですが、先日、遥さんから、残業
続きのため、水商売をしている噂がご近所で
立っていると伺いました。
私は、結婚前の大切な人にそのようなあらぬ
醜聞が立てられるのを看過できません。
また、夜遅くに遥さんが帰宅して、途中、何か
あったらと思うと心配でなりません。
だったら、一緒に住んで、彼女を醜聞からも、
夜道の不測の事態からも守りたいと考えて
います。」

私は、何も言えず、ただ口をパクパクさせるだけだった。

父もまた有効な反論を出来ず、しぶしぶ私を送り出した。