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もうひとり…

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2月に入り、1月に打ち合わせていた仕様も固まり、設計も完成間近だった。

設計できた所から、坂野くんがプログラムを組んでくれている。

3月末の納期に向けて、またまた残業漬けの生活。

「遥、顔色悪くないか?」

出勤前、けいちゃんが心配する中、私は、

「ちょっと寝不足なだけだよ。」

と答える。

「熱、測れ。」

と、けいちゃんが体温計を渡すので、

「大丈夫なのに。」

と言いつつ、体温を測った。

… 36.9℃

「微妙〜」

と私は笑って、けいちゃんと仕事に行く。

エレベーターで、けいちゃんと別れて、いつものように、

「おはようございます!」

と元気よく挨拶。



12時。

けいちゃんが来た。

「遥、大丈夫か?」

「大丈夫だよ。けいちゃん、心配しすぎ。」

と私は笑う。

一緒に社食に行くが、あまり食欲もないので、野菜ジュースだけで済まそうとすると、

「それじゃ、午後、持たないぞ。
ちゃんと食え!」

と、うどんを注文されてしまう。
仕方なく、少し食べるが、半分以上残してしまった。

「遥、今日は定時で帰るぞ。」

仕事は山積みなのに、けいちゃんにそう宣言されてしまって困った。


15時。

なんだか、眠い。
頭がふわふわする。

「坂野くん、コーヒー入れるけど、飲む?」

「あ、俺、入れますよ。」

「いいの。
ちょっと気分転換したいから。」

そう言って、立ち上がった瞬間、下から何か見えない力に引きずり下ろされた。

暗闇が私を包み込む。

あれ?
何?