「え!?」

「遥が超鈍いお陰で、俺は遥を手に入れ
られたんだから、超ラッキーだった。」

「???
どういう事?」

「ほんとは言いたくないけど、種明かしを
してやるよ。
今さら大野に言い寄られるの、気持ち悪い
だろ?」

「うん。」

「大野はきっと、お前の気を引きたくて、
別れ話を出しただけなんだよ。
『別れる』『捨てないで』みたいなやつ?
でも、お前どうせ、縋(すが)らなかったん
だろ?
奴の読みが外れて、やり直したいって
思った頃には、お前はもう俺の部屋にいたし。
携帯も着拒してたし。」

「そう…なの?」

「あいつの今の行動を見る限り、強ち間違い
じゃないと思うけどな。
で、遥、どうする?」

「え? 何が?」

「俺は、お前が泣いてるのを分かってて、
弱ってるところにつけ込んだ。
大野の気持ちがまだお前にあると知って、
お前はどうする?
大野のところへ戻るか?」

私はブンブン首を横に振った。

「きっかけは何でも、私にはけいちゃんしか
いないよ。
私はけいちゃんのものだし、けいちゃんは
私のものなんだからね?」

私はけいちゃんをまっすぐ見て言った。

けいちゃんは、顔をくしゃっと綻ばせて、

「遥、お前、ヤバすぎ。」

と言った。

「何が?」

「弁当より遥を食べたい。」

「は!?
私はお弁当を食べたい!」

「ムリ!」

私は箸を取り上げられ、そのままお姫様抱っこでベッドに連行された。