18時。
ルルルル
私の席の内線が鳴る。
「はい。河谷です。」
『遥?
今日、何時に上がれそう?』
「7時くらいかな。」
『了解。1時間後に迎えに行く。
遥、がんばれ!』
「うん。けいちゃんもがんばってね。」
そう言って、受話器を置くと、隣から視線を感じて振り返る。
「ラブラブですね。」
坂野くんが呆れたように笑ってる。
「あ、いえ、あの…」
しどろもどろになる私を見て、
「ぷっ! くくく」
坂野くんが吹き出すように笑った。
「俺、忘れてくださいっていいましたよね?
いつもの超鈍い遥さんでいいんですから、
気にしないで笑っててください。」
そう言う坂野くんの笑顔が優しくて、なんだか申し訳ない気分になる。
「超鈍いって、いくらなんでも、酷くない?」
「事実でしょ?
それより、7時に帰るんですよね!?
あと1時間、がんばりますよ!」
坂野くんって、ほんとにいい子。
頭ナデナデしたくなっちゃうけど、ここは我慢。
きっと、今までの私のそういう考えなしの行動がいけなかったんだと思うから。



