あるセンセイのバンクーバー物語

 「来てくれたんだ!何飲む?あと、サービスの一品、だしとくね!」ソユンのレストランにブライアンと食事をしに来た玲奈はレストランの店長に挨拶し、そしてついでに最初の一杯をおごってもらった。

 「かわいいレストラン!こういうところ好き!ブライアンは趣味じゃないか?」

 「趣味っていうか、食事がおいしければそれでいいんだ。ここには何回か来てるけど、すごくおいしいんだ。店長も色々サービスしてくれるしね。」

 「ソユン、働いてるときもすごく楽しそう。あんな風に人に接するとみんな寄ってくるんだろうね。」

 「何急に?」ブライアンは玲奈の顔をのぞいた。

 「いや、別に。私もあんなふうににこにこしとかなくっちゃ、と思って。」

 「いつも笑ってるじゃん。それでいいよ。レイナはこう、なんとなく、相手を引き込む力があると思うんだ。」

 「なにそれ?どういう意味?」

 「そういう風なふりをしているわけじゃないことはわかってるけど、なんとなくミステリアスで、相手にレイナのことを知りたいって思わせる力っていうか。うまく言えないけど。」

 そう言ってブライアンは玲奈の目を見た。

 「すごくきれいだよ。」

 玲奈はいったい何が起きているのかわからなかった。スコットといいブライアンといい、白人の男はこうやって女性を口説くのだろうと考えていた。過去に男性からからかわれたことのある玲奈は、このようなことを言われても、ほかの女性のようにかわいく「ありがとう。」、とは言えなかった。

 「どうしたの急に?何かあった?」

 「何かないと言っちゃいけないのかよ?」

 「そんなことは言ってないけど。」

 「仕事に一生懸命で、家でもかわいいなって思ってたけど。すごくきれいだよレイナ。」

 玲奈はしばらく何も言えなかった。やっと一言、「ありがとう。」と声を振り絞って返事をした。玲奈も、ブライアンのことはすごく素敵だと思っていた。多少腕の毛があろうが、ブロンドで肌の色と同じなので目立たなくて不潔な感じがないし、筋肉もほどよくあって若いし、やはり背が高いところには惹かれた。どうして女性は背が高い男が好きなんだろう。でもそれだけでプラスだった。