君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい

「あたしのこと好きでもないくせに、そんなこと言うから」


「は?好きじゃないなんて言ってねーだろ」


「だって忘れられない人……」


「……っ」




あたしの言葉に浩ちゃんの顔が歪む。



「やっぱり、いるんじゃん。そういう人」



頬に触れていた手をはずし、あたしは浩ちゃんに背を向ける。

そんな人がいるくせに、あたしに思わせぶりなことを言う。
腹がたつのに、嫌いなればいいのに。
この気持ちは消えてくれない。



「待てよ、愛莉!」



後ろから追いかけてきて、抱きしめられる。



「ちょ、浩ちゃん」



突然のバッグハグという、マンガやドラマでしかみたことのない状況に全身がかぁーっと熱くなる。



「俺が好きなのは愛莉だよ。忘れられない人の話、誰から聞いたかわかんねーけど、俺が今誰よりも好きなのは愛莉だよ。愛莉は凛月のことが好きかもしんねーけど、俺はお前がすきだ」


「……え?」



ばーっと話終えた浩ちゃんの言葉にもれたあたしの言葉はそのたった一言。

理解なんてできなかって。
そんな予想もしてない言葉。