君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい

キスなんて、しようとしていないと思っていた。
でも、ずっと考えてた。

浩ちゃんは、出会ったときからあたしのこと構ってくれて。
ほかの男の子では経験していないたくさんの思い出をくれた。

そして、それが初めてだということに浩ちゃんはすごく喜んでくれて。

でも、忘れられない人がいるのに。って思ってた。
随分と思わせぶりな人なんだなって。
それでもこの気持ちは消えることがなかった。



「しようとしたよ。冗談なわけねーだろ」


「だ、ダメだよ。そういうことは本当に好きな人にしないと!」



忘れられない人がいて、あたしのことなんかこれっぽっちも好きじゃないくせに。



「は?何ともおもってねーやつにするわけねーだろ」



怒ったように声を出す浩ちゃん。



「だって、浩ちゃんあたしのことなんか……っ」



あぁ、もうだめだ。
気づいた時にはもう遅くて。
あたしの瞳からは我慢していた涙がドバっとこぼれ落ちる。



「は?なんで、お前泣いてんだよ」



浩ちゃが、目を丸くしてあたしの頬に手を触れた。