君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい

「なぁ、愛莉。今日の国語ってなにしたっけ?」



ある日の放課後。
今日は浩ちゃんが日直で、日誌を書いて帰るから待っててと言われたのだ。



「んとね、これこれ」



あたしは机の中から国語の教科書を出して、浩ちゃんに見せる。



「お、サンキュー。国語の時間寝ちまったからなぁ」


「いや、浩ちゃんは体育以外寝てると思う」


「お?俺のことよくみてるね?いつも見てるのかな?」



なんて、顔を近づけてくる浩ちゃん。



「こ、浩ちゃん」


「ん?なに?」



もう少しで、浩ちゃんとあたしの唇が近づきそうになったとき。
1ヶ月くらい前に京香ちゃんに言われた「忘れられない人がいる」という言葉が脳裏に浮かんだ。



「やめて!」



あたしは、思いっきり浩ちゃんのことを突き飛ばす。



「痛てぇよ、バカ」



あたしによって、椅子から転げ落ちた浩ちゃんは不機嫌そうな顔で立ち上がる。