「志田、嶋村くんと何か先に約束でもしてたの?」 近江の潤んだ瞳が志田を見上げて問うた。 くっそう、いちいちかわええなぁ……。 ………って待て! そうだ。思い出した。 なんだか近江がいたもんだから、それでテンパッて忘れちまったんだ! 「浅瀬晴美ちゃん」 「え?」 俺に突然フルネームで名指され、ぎょっと身をすくめる浅瀬晴美。 「志田のついでに、俺にもメアド、教えてくれないか」 …………瞬間、確かに空気が死んだのを感じた…………。