「どうしたの?なんか込み入ってるわけ?」 「その前にさ、どっか入らない?ここ暑いし。図書館まだしばらく開かないし」 そう言うと浅瀬ちゃんは、いずこかへ歩き出した。 「え、ちょっと、どこ行くの」 「喫茶店。コーヒーくらいならおごるから」 振り返った彼女の顔は、俺の知っているどの表情とも一致しない社交性のかけらもない、冷たいものだった。