それから。
中学に上がったのを期に、空気を読む努力をしてみることにした。
しかし、やはりうまくはいかなかった。
馴れ合い程度の付き合いならなんとかできたが、親しい友人をつくることは、どうやってもできなかったのである。
悪戦苦闘の中学生活を送る俺とはやはり対照的に、香田は楽しそうな、厚顔無恥な日々を過ごしていやがった。
そして、忘れもしない中学二年の五月。
体育の時間、教師にペアになって柔軟体操をしろと言われ、俺はげんなりとした。
そんな相手を探す方が労力がいるというのに、と。
誰か声をかけようにも、すでにランクを形作る面々は組みしてしまい、俺は余ってしまった。
(はぁまったくどうしたものかねえ)
俺は途方にくれたものだった。
そんでまぁその時だった。



