それでも天性の性分からか、あるいは身体的な欠点からか、どうがんばったとしてもそこには行かれない人間も、まぁいるわけである。
そういう人間は妥協ではないが、一コ下のランクに留まらざるをえないだろう。
そんなことが順々に行われる。
そして集団には最下層が生まれる。
つまり、どこにも属すことすらできなかった奴らである。
集団の中にあって個人である彼らは、往々にして孤独だ。
さかのぼること十年前。
例のとあるしょうもない事件をきっかけに、俺は自分のくだらなさ、小ささを知り、殻に籠もった。
俺は集団に属するために必要不可欠なもの。
「周りの空気を読むこと」が、とても苦手な人間になってしまった。



