バスに乗って25分、それから歩いて5分、やっと辿り着いた昇降口前には人が波のようにホワイトボードに集まっていた。 「すごい人だかり…」 あまりの人の多さに言葉を失うといっちゃんが心配そうに覗き込んでくる。 「すごい人だね…大丈夫、なつめ?」 「う、うん、慣れなきゃだから。」 そうは言いつつも足の震えは止まらないし、冷や汗も出てくる。 慣れなきゃとは思っているのに。 言うことを聞かない体も、自分のこともなんだか情けなくなってきて、小さくため息をついた。