開きっぱなしのクローゼット。

中に何かが落ちている事に気付いたのは夕闇が迫る頃だった。

重い腰をゆっくりと持ち上げクローゼットに近付いて足が止まった。

美加の顔が悲しみに染まる。

クローゼットに落ちていたのは一枚の写真。

幸せそうに笑う美加と、隣でふざけたポーズで笑う健司が写っている。



「懐かしいな…」



写真を拾い上げ呟いた。

見つめる目に涙が溢れてくる。

堪らなくなり写真を床に落とした。

写真の中にはあの頃のままの二人がいる。

それがどうしようもない程悲しくて、涙を押さえることが出来なかった。