私の不安をあなたが一番知っている

ある日俺をよく思わない生徒が、独裁風紀委員と野次を飛ばしてきた。


一年生は何を言っているのかわかっていなかったが、二、三年には緊張が走った。


一年生は知らねーだろ。こいつ言うこと聞かなかったやつの足を折ったんだぜ。足折られたやつは登校拒否して……。


皆まで言う前に胸ぐらを掴んでいた。
適当なことを流布するな。文句があるなら意見箱で言え。


怒りに任せ乱雑に落とすと、俺を見る目が一変していた。


生徒会長って穏やかな感じの人と思ってたのに。
いくらなんでもあれは……。
半分くらい本当の話を混ぜてるんじゃないか?


たった一度の失敗で、なぜ失望されているんだ……!?
愕然としたまま立ち尽くした。


その日から時効とばかりに話し出す生徒が増え、名誉の回復に頭を抱えた。
とにかくこれ以上広まらないよう、真偽がわからない噂の流布をやめるよう訴えかけたが焼け石に水だった。


その後どんなに頑張っても生徒の心が離れていく。
俺は自棄になって、校則全面改正案を出した。


休み時間学校から出てもよいことにする、化粧は華美なものでなければよい……。
どの学校にもないほど緩めた校則に、生徒会の役員から当然反発が集まった。


呆れた生徒会役員の一人が帰り、残りの生徒もそれに続く。
生徒会役員から見捨てられ、もう終わったと絶望した。


何が駄目だった?自問していると、一人だけ残っていた書記が、反対のことをすればいいのですよと言ってきた。


革命が成功した直後の生徒は、不良の時代は終わりだ!と嬉々として校則を守りました。
しかし今となっては制服を着崩し、授業中コソコソと雑談したり携帯を触る。


不良とまではいかなくても、ただの底辺校になっている。このままでは大学受験や就職という戦争には勝てない。



彼らのためを思うなら厳しくしなければいけません。
大丈夫です。反対するやつなどねじ伏せればいいのです。あとで有り難さを理解するのです。


栄光を取り戻しましょう。ひいては新独立風紀委員の設立を……。


独立風紀委員として活動していたときの興奮を思い出す。
そうだ、あんなやつら不良と変わらない。社会に出る前に叩き直さなければいけない。


俺はいつも正しかった。その証拠に学校の革命を成し遂げ、生徒会長の座も手に入れている。


完全に周りが見えなくなってしまい、何のために今まで頑張ってきたのかを忘れてしまった。