独立風紀委員は不良と戦い、正しい制服の着方や時間厳守など、学生の基本を叩き込んだ。
大抵の生徒は力が及ばないと判断すると、逆らわず大人しくなった。
負けて誰にも威張れず、心の支えを失った下っ端不良を確実に取り込むのが俺の仕事だった。何を望んでいるのかがわかるから、その望みを出来るだけ叶えて心を掴む。
この人は俺のことをわかってくれている、と思わせ、簡単に風紀委員に取り込んだ。
篤彦とハクは飛び抜けて強く、先陣を切って倒し、後で俺が余すことなく取り込んでいく。
疾風三英傑とも呼ばれ、向かう所敵なしとさえ思えた。
しかし仲間を殆ど失い、連敗しながらも抵抗を続ける不良がいた。
先輩の卒業式までに追風と決着をつけ、一番の不良の証であるバッジを奪い取って見せるまで、不良を辞めるわけにはいかない。
こんなところで負ける訳にはいかないんだと、体育館裏に追い詰められても徹底抗戦を貫いた。
俺たちも先輩の卒業式が迫っており焦っていた。後輩の姿に心を打たれた先輩は、終われば不良を辞めさせるから、卒業式まで待ってくれと言った。
卒業式まで待つという意見が多数だが、もしも卒業式まで待てば美談となってしまう。
不良への憧れは一刻も早く断ち切らなければならない。
目配せすると、篤彦とハクが頷く。
俺は根性で体を支え続ける足首に、力一杯鉄パイプをぶつけた。
不良は呻き声を上げて遂に倒れた。
残っていた仲間は言葉を失い、愕然としていた。
やはり足首は骨折したらしい。
主要人物が欠けた状態でバッジなど取りに行ける訳がなく、戦意は喪失した。
俺は鉄パイプという禁じ手を使い、大きな怪我を負わせた。
県が推し進める教育改革のモデルになっていた進学クラスから、こんな問題が起きたと知られる訳にはいかない。
教育委員会は徹底的に隠蔽した。
先生はただ一言、手段は考えろとだけ言って、もう二度と触れない話題になった。
父も、面倒ごとは起こすな、とだけ言って特に怒ることもなかった。
父はそこそこ有名な会社の社長だった。せっかく景気が緩やかだが回復して来た頃だというのに、息子の問題行動なんかに邪魔されてたまるか、と思っていたのだろう。
こうして犠牲を払いながら、疾風高校から不良が消えた。
大抵の生徒は力が及ばないと判断すると、逆らわず大人しくなった。
負けて誰にも威張れず、心の支えを失った下っ端不良を確実に取り込むのが俺の仕事だった。何を望んでいるのかがわかるから、その望みを出来るだけ叶えて心を掴む。
この人は俺のことをわかってくれている、と思わせ、簡単に風紀委員に取り込んだ。
篤彦とハクは飛び抜けて強く、先陣を切って倒し、後で俺が余すことなく取り込んでいく。
疾風三英傑とも呼ばれ、向かう所敵なしとさえ思えた。
しかし仲間を殆ど失い、連敗しながらも抵抗を続ける不良がいた。
先輩の卒業式までに追風と決着をつけ、一番の不良の証であるバッジを奪い取って見せるまで、不良を辞めるわけにはいかない。
こんなところで負ける訳にはいかないんだと、体育館裏に追い詰められても徹底抗戦を貫いた。
俺たちも先輩の卒業式が迫っており焦っていた。後輩の姿に心を打たれた先輩は、終われば不良を辞めさせるから、卒業式まで待ってくれと言った。
卒業式まで待つという意見が多数だが、もしも卒業式まで待てば美談となってしまう。
不良への憧れは一刻も早く断ち切らなければならない。
目配せすると、篤彦とハクが頷く。
俺は根性で体を支え続ける足首に、力一杯鉄パイプをぶつけた。
不良は呻き声を上げて遂に倒れた。
残っていた仲間は言葉を失い、愕然としていた。
やはり足首は骨折したらしい。
主要人物が欠けた状態でバッジなど取りに行ける訳がなく、戦意は喪失した。
俺は鉄パイプという禁じ手を使い、大きな怪我を負わせた。
県が推し進める教育改革のモデルになっていた進学クラスから、こんな問題が起きたと知られる訳にはいかない。
教育委員会は徹底的に隠蔽した。
先生はただ一言、手段は考えろとだけ言って、もう二度と触れない話題になった。
父も、面倒ごとは起こすな、とだけ言って特に怒ることもなかった。
父はそこそこ有名な会社の社長だった。せっかく景気が緩やかだが回復して来た頃だというのに、息子の問題行動なんかに邪魔されてたまるか、と思っていたのだろう。
こうして犠牲を払いながら、疾風高校から不良が消えた。



