「俺が若い頃は、革命を起こしたいと思う側だったよ。そのときは大いに暴れた」
「え?」
安芸津さんは冷静に判断し、暴走する人を諌めてそうだと思っていた。
ああ……そういうことか。先生が言っていた、大人しくなったというのは。
「どうしようもない大人の昔話になるが、聞いてくれるか?」
どんな気持ちで革命に踏み切ったのか知りたかった。頷くと、どこでもないところを見て話し始めた。
君が生まれた年、俺は高校一年生だった。ソルトレイクシティでオリンピックが開催され、学校は週五日制になった。
その頃疾風高校は特別荒れていて、一度授業を抜け出せば二度と帰ってこない、授業中に堂々と携帯電話を使う、制服を着崩すのは当たり前で、女子はまぶたにつきそうなくらい黒々と塗り重ねたまつ毛をしていた。
北の追風、南の疾風と呼ばれ、この高校には行きたくないから普通の生徒は受験の際、死に物狂いで勉強した。
しかし、全ての生徒が荒れていたのではない。
当時、厳しい試験を乗り越えた二十人を集め、特別待遇で授業を受けさせる、県内有数の進学クラスがあった。
親からそこに入るよう言われた俺は、無事試験に合格し、疾風高校に入学した。
人が何を望んでいるのかわかる力に目覚めたのもこの頃だ。
進学クラスは特別待遇と言うことで、普通クラスからは離れた棟に教室があった。しかし普通クラスの生徒の影響を全く受けない訳ではない。
学年に一人はいたリーダー格の生徒。
その生徒が進学クラスの生徒に目をつけた。
目をつけられたのは島 篤彦(しま あつひこ)という生徒で、俺の親友だった。友達を作ろうとしなかった俺に話しかけて、仲間にしてくれた。
敦彦は品行方正な男子生徒に見せかけて、実は結構な暴れん坊だった。
大きなバイクの音を轟かせて通学し、ヘルメットを外せば色素の薄い髪が現れ、ピアスの穴を両耳に三個ずつあけていた。
それでも成績はクラス一で、派手な格好をしてもお咎めなしだった。
いつもは敬語で話すが、親しい者には気を抜いて、少し荒っぽい口調になる。荒っぽい口調の、なんだかんだ言って助けてくれるあいつのことを唯一無二の親友だと思っていた。
「え?」
安芸津さんは冷静に判断し、暴走する人を諌めてそうだと思っていた。
ああ……そういうことか。先生が言っていた、大人しくなったというのは。
「どうしようもない大人の昔話になるが、聞いてくれるか?」
どんな気持ちで革命に踏み切ったのか知りたかった。頷くと、どこでもないところを見て話し始めた。
君が生まれた年、俺は高校一年生だった。ソルトレイクシティでオリンピックが開催され、学校は週五日制になった。
その頃疾風高校は特別荒れていて、一度授業を抜け出せば二度と帰ってこない、授業中に堂々と携帯電話を使う、制服を着崩すのは当たり前で、女子はまぶたにつきそうなくらい黒々と塗り重ねたまつ毛をしていた。
北の追風、南の疾風と呼ばれ、この高校には行きたくないから普通の生徒は受験の際、死に物狂いで勉強した。
しかし、全ての生徒が荒れていたのではない。
当時、厳しい試験を乗り越えた二十人を集め、特別待遇で授業を受けさせる、県内有数の進学クラスがあった。
親からそこに入るよう言われた俺は、無事試験に合格し、疾風高校に入学した。
人が何を望んでいるのかわかる力に目覚めたのもこの頃だ。
進学クラスは特別待遇と言うことで、普通クラスからは離れた棟に教室があった。しかし普通クラスの生徒の影響を全く受けない訳ではない。
学年に一人はいたリーダー格の生徒。
その生徒が進学クラスの生徒に目をつけた。
目をつけられたのは島 篤彦(しま あつひこ)という生徒で、俺の親友だった。友達を作ろうとしなかった俺に話しかけて、仲間にしてくれた。
敦彦は品行方正な男子生徒に見せかけて、実は結構な暴れん坊だった。
大きなバイクの音を轟かせて通学し、ヘルメットを外せば色素の薄い髪が現れ、ピアスの穴を両耳に三個ずつあけていた。
それでも成績はクラス一で、派手な格好をしてもお咎めなしだった。
いつもは敬語で話すが、親しい者には気を抜いて、少し荒っぽい口調になる。荒っぽい口調の、なんだかんだ言って助けてくれるあいつのことを唯一無二の親友だと思っていた。



