私の不安をあなたが一番知っている

家に帰ったら案の定、壁を殴る音が響いてきた。
今から外に行く元気はない。けど、自分の部屋では寝れない。


そんな時のために、寄り道してこれを買ったんだ。
白い紙袋をこたつの上に置き、ひっそりと部屋からお茶のパックを取り出した。


お茶の時間に心を踊らせながらお湯を沸かし、お湯を注いで、綺麗な緑色が滲み出るのを待つ。


時間が経ち、伏せていたお皿とパックを取れば完成。


湯のみとお菓子を並べて、楽しいお茶の時間が始まる。今日はシンプルな羊羹と梅大福を買ってきた。


羊羹は滑らかで、そのまま食べたら喉に張り付くような甘さだけど、濃いめにいれたお茶にぴったりだ。
梅大福は梅の香りがふわっと漂ってきて、噛むと、甘くて柔らかい餅から梅の酸味も現れる。


最後の一口を飲んで一息つくと、さっきまでのストレスも抜け出ていくようだった。


暖まりながらこの前撮った写真を眺める。
そういえば梅もこの時期に咲くんだっけ。桜より一足先に咲いていた気がする。


フォルダーを開くとついつい他の写真も見てしまう。すると、いらなくなった写真が残っていることに気付き、テスト前に撮らせてもらったノートの写真や、一年生の時間割などを消していった。


肩が冷えてきたので、後ろを向いてこたつに潜り込もうとした。
そしてこの冷えの原因がストーブをつけていないことだとわかり、大人しくストーブをつけて、潜り込むのはやめにした。


こたつに入れるのは腰まで。肩に布団をかけたら寝てしまう。
ストーブをつけたついでに後片付けをする。辰也の暴言はまだ止まず、いつになったら静かになるんだろうと思いながら、シンクにコップを置いた。