私の不安をあなたが一番知っている

「明後日扶桑花行くねん。なんか最後の日が近づいてるなーて感じるわ」


相槌を打ちながら、あそこは本当にいいところだったんだなと思った。
その後も扶桑花での思い出を語っていて、楽しかったのが伝わってくる。
履歴書に、学校に通ったという実績が残るのはいいことだと思う。けど、扶桑花の方がここにいるより成長できるのではないかと思った。


人が多い分合わない人も増えるし、無責任な発言にあふれている。扶桑花を余裕があると言うなら、ここは緩みきっている。


「じゃ、また扶桑花でな。さよならー」


「さよなら」


大和さんと別れて、一人駅へと歩いていく。
家に帰れば暴言ばかりの辰也がいる。
なんで学校でも家でも嫌になるようなこと聞かなきゃいけないのかな。


どちらも本人に言ったところで解決しない。辰也にもう少し静かにしてと言ったら倍にした跳ね返される。学校ではしらばっくれられて私が変な目で見られる。


なんで静かにしている私がこんな目に……。
押さえつけられた不満が叩いてきて痛い。


私には吐き出すところがない。ネットに愚痴を流すのも嫌だし、こんなことお母さんに言ったら騒ぎ立てられて逆に疲れる。


このままじゃ不満に頭を打ち抜かれて死んでしまいそうだ。
今も頭の中をどんどん叩いている。


私は複数の人に聞いてほしい訳じゃない。たった一人、たまに黙って聞いてくれたら軽くなれるんだ。


思い浮かんだのは安芸津さん。
そうだ。いつも安芸津さんに話せば体が軽くなっていたけど……。


こんなことで話したくない。
もっと明るい話題がいい。