私の不安をあなたが一番知っている

「ただいま……」


「お帰り」


リュックサックは傘をさしたというのに湿っている。
自分の部屋に戻って床にどすんと置いた。


紙袋とお茶のパックを取り出し、三文字を睨む。
掛川茶と朝宮茶があるけどどっちにしよう。


どっちがお菓子に合うのか調べてみたけど結論は出ない。どっちでも美味しいか。じゃあ朝宮茶の方にしよう。


やっと楽しみにしていた時間が始まる。
台所でお湯を沸かし、コップにパックを待機させる。


お湯は八十度くらいで入れるのが美味しいらしい。沸騰したら火を消して、少し待とう。
雪うさぎとゆっくりお茶、は時間がかかるけど、たまにはこういうのもいいかもしれない。


小さな泡が鍋の底に生まれてくる。泡は底から離れ、水面にぶつかって消えた。
やがて浮き上がってくる泡の間隔は狭くなってくる。


「何してるの?」


お母さんはドラマの展開が落ち着いたところで、台所に目を向けてきた。さっきまでシリアルをかけたヨーグルトを食べながらこたつでくつろいでいた。


「お茶飲むから沸かしてるの」


「お茶なら冷蔵庫にあるよ」


「温かいのが飲みたいから……」


そう言うと納得してテレビの世界に戻っていく。


鍋の内側に沿うようにして、膨れては消えていく。
沸騰したところで火を消し、コップに注ぎ込みたい気持ちを我慢して冷ます。


煮え立っていたのが落ち着いた頃、静かに注いだ。フタをすると美味しくなるらしいので、目についた皿をさっとかぶせた。


中の様子が気になった私は一分ともたずに皿を取った。まだまだ薄いのですぐ皿をかぶせる。
もう少し待ってから取り、現れたのは日に当てられた若葉のような、透き通った黄緑。
濃い方が好きだしもうちょっと待とうかな。でも濃くなりすぎるとお菓子に合わなくなるかな。


結局、春の若葉みたいな色のところで完成にする。糸をつまんで引き上げ、水滴が集まっている皿にのせた。