同じジャージを着た集団は広場に向かっていく。スタート地点は広場の右側にあった。


広場の右側に石畳の歩道があり、出ると幅がある歩道が公園をぐるりと囲んでいる。
そのまま歩道を進み、先生が立っている地点で山に近い道に逸れる。


ゴールは山の麓の公園だ。運動場とは比べ物にならない距離だけど、先生がいないところが続くから歩けるとも聞いているし、学校と違って景色が変わるのも助かる。同じものを何度もぐるぐると見ていると気が狂いそうになる。


まずは一年生の女子からスタートする。
私は群れることなく後ろの方で待機する。先生が旗を上げると、前方の人たちが動き出した。そこからまた速い人が飛び出していく。私は早足のような速度でスタートするけど、速度を上げることさえしない人もいた。


この人たちよりはましか、と微かな優越感を覚えた。
成績なんて大体決まってるだろうから、今更真面目にしても無駄なんだけど。


さっきまで見ていた背中がどんどん遠くなっても、近くに人はいるし不安にはならない。


「こっちですよー」


赤色のジャージを着た先生が、右に逸れた道に案内する。
逸れた道の周辺にはぽつぽつと民家が見え、迷惑にならないかと心配した。


花でも咲いていないかなと庭を見てみるけど、雑草と裸の枝だけしか残っていなかった。
長距離の上殺風景とは……。


頼りにしていた景色もこれか。
精神を攻めてくる殺風景と、息が切れても続く長い道を想像して、憂鬱になった。