22時。

第2ステージ。

やはり表情も固ければ、演奏も固い。


23時。

そろそろラストの曲かな?

っ!!

何で!?

ショパン『別れの曲』

それまでの固い演奏とは違って、感情が入った切ないメロディ。

奏が泣きそうな顔をしてる。

俺と別れたいって事?

永遠だと思ったのは、俺だけだった?

胸が苦しくなる。


演奏を終えて、奏がステージを去る。

10分後、着替えて現れた奏は、俺の隣には座らなかった。

通り過ぎる瞬間、俺の耳元で囁いた。

「お願い。信じて待ってて。」