だけど、今日の本題はそれだ。
避けては通れない。

「はい。ありがとうございます。
でも、今日は、律くんがおっしゃった件で、
ご挨拶に伺ったので、話(はな)させて
いただいてもいいですか?

今日は、奏さんとお付き合いをさせて
いただきたく、ご挨拶に伺いました。
もちろん、将来を見据えて、真剣な
お付き合いをさせていただくつもりですし、
奏さんを幸せにしていきたいと考えています。」

俺は、目をそらす事なく、おじさんを見た。

するとおじさんが、ようやく、口を開いてくれた。

「奏は、私の宝物だ。
壊れ物なので、大切にしてやってください。」

「はい。必ず大切にします。」

そう約束して俺は、奏を見て微笑んだ。


「あーぁ、ゆうにぃ、かっけぇなぁ。
オレ、涼(すず)んちで、そんな堂々と挨拶
できなかったよ。
まぁ、デキ婚で向こうの親が激怒してたのも
あるけど…。」

おいおい、律、そんなんで結婚して大丈夫か?

「ねぇちゃん、大丈夫?
ゆうにぃ、めっちゃモテるんだよ。
捨てられて泣くなよ?」

律!! お前、地雷、踏みまくり!

「律!!
そんな事、あんたに言われなくても
知ってるわよ!」

奏が怒るので、俺がなだめに入る。

「律、大丈夫だよ。
俺には、奏しかいないんだから。
それより、律はしらないだろ?
奏は俺なんかより、ずっとモテるんだぞ。
捨てられたらどうしようって、毎日ドキドキ
してるのは、俺の方だ。」

フォローしたつもりだが、正直過ぎたか?

「ねぇちゃん、顔、真っ赤だぞ。」

律に言われて、奏は慌てて両手を頬に当てて隠した。

そんな奏もかわいい〜。

「ふふふ。
奏、良かったわね。
こんなに愛されて。」

おばさんに言われて、奏はますます顔を赤くした。


おばさんは、昼食に誘ってくれたが、丁重にお断りをして、俺たちはマンションに戻った。