午前11時。

奏を迎えに来た。

俺が実家へ帰るついでに、奏も実家へ送って行く約束だった。

「ゆうくん、ありがと。」

昨夜の事があるせいか、少しはにかんだように微笑む姿がかわいくて、思わず奏の肩を引いて顔の向きを変えた。

「奏…」

俺はかわいい奏に口づける。

「んっ…」

奏は逃れようとするが、俺は離さない。
次第に奏の力も抜け、しがみつくようにキスを受け入れた。

しばらくして奏を解放すると、素直に謝った。

「ごめん。奏がかわいすぎて、我慢
できなかった。」

「もう! ゆうくん、ここ廊下だよ。」

怒る奏がかわいくて、ちょっとだけ意地悪をしたくなった。

「廊下じゃなきゃいいんだ?」

「!! もう、知らない!」

拗ねる奏もかわいくて仕方ない。

「ごめん。どうしよう。拗ねる奏が
かわいくて、もう1回したくなった。」

「! んもぅ!」

怒りながらも、奏は笑っていた。


そのまま俺は、奏と手を繋いで駐車場へ行き、実家へと送っていった。