「ゆうちゃん、昼休み、鬼ごっこしようぜ。」

俺は、昔から友達はそれなりに多かった。

だから、俺の席の周りには、こうやって俺を誘いに来る友達が群がってくる。

それはとてもありがたい事だが、唯一の難点は、群がってきた奴らが、奏の存在に気づいてしまう事だった。

奏はかなりの人見知りだが、俺というフィルターを通す事で、早くみんなに打ち解ける事が出来た。


「奏ちゃんもやる?」

佐藤 康太(さとう こうた)が、にこっと奏に目をやって誘う。

おいおい、お前はいつも女子とは一緒に遊ばねぇだろ!?

「ううん、やめとく。ありがと。」

奏が断ってくれて、ほっとしてるなんて、俺はなんて心が狭い男なんだ。



こうして、俺の小学校生活は、奏と共に始まった。