─── 翌 12月16日 日曜日 ───
今日は、奏を部屋に呼ぼう。
俺はそう決めて、奏にメールした。
『今から昼飯作るから、食べに来いよ。』
『楽しみ♪
502だったよね?
今から行くね(^∇^)』
やった!
奏が俺の部屋に来るのは、大学入学の時以来だ。
ピンポーン
「いらっしゃい。上がって。」
「お邪魔…しまーす。」
俺の部屋に奏がいる。
嬉しくて顔がにやけそうになるのを必死で抑える。
「ゆうくんち、広いね。」
「そう?
まぁ、奏んちみたいに防音室入れてないから、
余計にそう見えるのかもな。」
キョロキョロしてた奏が、
「ゆうくん、これ…?」
楽器を見つけた。
「あぁ。いいだろ?
p BONE って言うんだ。
出して吹いてみていいよ。」
奏はプラスティック製のトロンボーンに興味深々だ。
「こんなのあるんだ。音は? いいの?」
「んーー。
趣味でやる分には、これで十分かな?
ほら、ピアノだって、電子ピアノだし?」
やっぱり奏の興味は俺より音楽かぁ。
「奏、もうすぐできるから、こっちのサラダ
運んでもらっていい?」
「分かった。」
奏がサラダを運ぶ。
俺は奏の好物のカルボナーラを作った。
一人暮らし歴はもう9年目だ。
そこそこ料理もできる。
「どうぞ。」
皿を置くと、奏の動きが止まった。
「私、ゆうくんにカルボナーラが好きって
言った事あった?」
「ないけど、みんなで出かけた時、いつも
食べてたじゃん。」
「よく覚えてたね。」
「ずっと見てたからな……。」
奏が固まっている。
固まったまま、カルボナーラを食べた。
「… ごちそうさまでした。」
「お粗末様でした。」
奏は、俺の事、どう思ってるんだろう?
せめて男として意識してくれてるだろうか?



