カタンっ。といすを引いて席につく。夕凪君も私と同じ動作で座り、外を見ていた。

ほんと、好きだよなぁ〜。なんでそんなに景色見るの好きなんだろう。…世界が変わるって言ってたけど、私の世界はいつも変わらない。

きっと、夕凪君と私では…根本的に違うんだろうな。



「空っ!」


ひょこっと机の横から顔を出した瑠璃。


「おはよ!」


「おはよう!」


「見てみて!この前見つけたクッキーなんだけど、すごく美味しくてね!!はいっ、空にもあげるぅ〜!」


可愛くラッピングしてあるそれは、とても瑠璃らしかった。


「ありがとう」


「どう?どう??」


キラキラした目で見てる瑠璃に疑問を持って、とりあえず開けてクッキーを食べてみた。


「ん、おいしい!」


「本当?!よかったぁ!」


すごく安心したようにいう瑠璃に「なんだろう」と思いつつ、何も思い当たらない。瑠璃が席に戻ってからも私の頭はグルグル回っているだけだった。


「プレゼントやろ」


夕凪君が私の方に顔だけ向けてそう言った。


「プレゼント?」


「誕生日」


あ…そうだ。私今日誕生日だった!自分の誕生日忘れるなんてバガだなぁ。

あれ…それよりも、なんで夕凪君が私の誕生日知ってるの?言ったっけ?…


「ゆ…」


聞こうかと思ったけれど、彼はもううつ伏せで眠りに入っていた。

ていうか…もしかして、朝の写真…


『記念や記念』


それって…初めての写真っていう意味じゃなくて、誕生日だからっていう意味なんじゃ…

確信はないけど、もしそうならすごくわかりにくい。…けど、そんなわかりにくさが異常に心に暖かさを生んだ。