「10分たったね」


「お!…意外とあっとゆう間やったなぁ〜!…よーし、勉強した後の空は格別やでー!!」


夕凪君はノートを放り投げカメラに飛びつく。

それから私はいつものように、カシャと鳴る音をただずっと聞いていた。


「ねぇ」


「なんや?」


「夕凪君の撮った写真見てみたいな」


「まだあかん」


まだ?…いつかは見せてくれるってことなんだろうか?


「そういえば、夕凪君は写真部に入る気はないの?」


「ないな〜」


「どうして?」


「…俺は好きな時に好きな場所で好きなものを撮りたいからなぁ〜。……それに、俺にはそんな資格ないから…」


資格がない?…それってどういう意味なんだろう…。


「ど…」


「ていうか、この学校写真部ないんやろ?」


「あ、そうだった」


今年部員がいなくて、廃部になったんだった。


「おっと、チャイムなるで!」


「そうだね」


私は彼と一緒に屋上を出た。