「夕凪君!」
「おっ、雨野さん〜っ」
「ごめん!おそくなっちゃって…」
「今来たところやから大丈夫や」
なんだか彼氏彼女っぽい会話に少しドキッとする。…それに、夕凪君が乗ってきたと見られる電車は今来たようには見えない。
「バスに乗っていくから、バス停まで歩くで〜」
はしゃぐ彼の隣を私は歩き出した。
「意外とバス乗る人多いんやな」
「そうだね」
私は普段バスに乗らないから知らなかったけど、この辺だとこの量は普通なのかな?…バスにみんな乗り切れるんだろうか…
バスが来て、ドアが開くと同時に周りにいた人たちは我を失ったかのように押し合いながら入り込んだ。
「きゃっ…」
ードサッー
「す、すみませ…」
「ははっ、ええよっ」
「わっ、ごめん夕凪く…っ」
押された拍子に夕凪君の胸に飛び込んだ形になってしまった。急いで離れようと思ったけど、ギュウギュウのバスの中では無理で、私はくっついたままの体制になってしまっていた。
「…よっかかっとってええよ」
夕凪君の声は少し低く感じた。…それによってドキドキがまして、心臓の音が夕凪君に聞こえないか心配になる。
多分、いや絶対今私、顔真っ赤だ。
そうわかってしまうほど、私は緊張していた。
ーキキィィー
「わっ…っ」
「……大丈夫…か?」
「う、うん」
急なブレーキにより、揺れたバス。私が横に倒れそうになったところを夕凪君はぎゅっと抱きしめてくれていた。
「…荒い運転やなぁ〜…」
夕凪君の声に少し緊張が含まれていたように感じたのは、もしかしたら私の気のせいかもしれない。

