「……レイ?」
何も言わないレイの名前をとりあえず呼んでみる。
俺を見下ろすレイの瞳はいつもの様に鋭く、だけど冷たさはなかった。
睨み付ける様に怖い顔をしているのに、何故か温かさと優しさを感じる様な……不思議な感覚だ。
「お前、今のステージ観て何を思った?」
レイからそう問われる。
何を思ったか?
響く歌声、重低音。歓声、拍手、熱気。
この場所でしか得られないそれらは、こんなに近くにあって、だけど俺が手を伸ばしても届かないほど遠い。
ああ、
何でステージに立っているのは俺じゃないんだろう
って。
でも、実際にステージに立っていたレイにそんなことは言えず、俺はレイから目を逸らして言葉を詰まらせる。
そんな俺の心情を、レイはお見通しなのだろう。
「立てなくても、歩けなくても、ギターは誰にも弾ける」
「え?」
「ちゃんと悔しい顔が出来んじゃねーか。だったら、お前の居場所はあそこだろ」
レイはそう言ってステージをーー
咲の隣を指差した。
何も言わないレイの名前をとりあえず呼んでみる。
俺を見下ろすレイの瞳はいつもの様に鋭く、だけど冷たさはなかった。
睨み付ける様に怖い顔をしているのに、何故か温かさと優しさを感じる様な……不思議な感覚だ。
「お前、今のステージ観て何を思った?」
レイからそう問われる。
何を思ったか?
響く歌声、重低音。歓声、拍手、熱気。
この場所でしか得られないそれらは、こんなに近くにあって、だけど俺が手を伸ばしても届かないほど遠い。
ああ、
何でステージに立っているのは俺じゃないんだろう
って。
でも、実際にステージに立っていたレイにそんなことは言えず、俺はレイから目を逸らして言葉を詰まらせる。
そんな俺の心情を、レイはお見通しなのだろう。
「立てなくても、歩けなくても、ギターは誰にも弾ける」
「え?」
「ちゃんと悔しい顔が出来んじゃねーか。だったら、お前の居場所はあそこだろ」
レイはそう言ってステージをーー
咲の隣を指差した。


