そして定時になって、新入社員も皆、帰ったところだった。

私は、自分の席に座って、明日の仕事の事を考えていた。

隣には、まだ同期が残業をしていた。


「熱心ね。まだ残業。」

「ああ、もう少しで、アイディアまとまるから。」

企画部の人間は、企画を出していくら。

新しい企画がまとまるまで、残業していく時もある。

「じゃあ、私は帰ろうかな。」

私がカバンを持った時だ。

「あのさぁ、清水。門馬雪人って、そんなカッコいいか?」

私は、足を止めた。

「えっ……」

「新入社員の中で、噂になってるみたいだぞ。おまえが門馬雪人を気に入っているって。」

私は、ため息をついた。

「どうだかね。私は皆、平等に扱っているけれど。」

私はそう言って、オフィスを出た。