「……大変じゃないです。」

川津さんの声が後ろから追いかけてきた。

「……え」

私がその声に振り返ると

川津さんは私の顔をじっと見つめていた。

「……川津さん?」

「私…1年の時からずっと

新井くんの事が好きなんです。」

「……!?…」

え…好きっ?

「…私…昔から地味で、周りの誰にも

相手にされてなくて…。

でも、高校に入学したら

何か変わるかなって思ってたけど…

やっぱり…何も変わらなくて…。

だから去年の学園祭でも…

私…雑用ばっかりで…

ほとんど…パシリ状態で…

だけど皆に嫌だっていう勇気なくて…。

そんな自分が情けなくて…惨めで。

そんな時…新井くんが…皆の前で

私を庇ってくれた…。

たった一人で…。

新井くんが…教えてくれたんです。

"誰かにどう思われるかじゃない…

自分が自分をどう思うのかが

大切なんだって。

思いは伝えないと

無いのと同じだって"……。」

「……え…」

"言わないなら最初から何も無いのと

一緒だから…。"

新井くん……。